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歯科医だから見える老いのサイン⑦ー日本口腔衛生学会の提言

  • 執筆者の写真: 康弘 若菜
    康弘 若菜
  • 7月2日
  • 読了時間: 3分

 フレイルやオーラルフレイル予防、高齢者の健康寿命の延伸へ向けて社会は大きな関心を向けています。各学会が主導する学術研究においても基礎研究をベースに、啓発活動などさまざまな取り組みを行ってきました。

 今回は口腔機能と全身の健康維持・増進に向けて早くから情報を発信し続けてきた日本口腔衛生学会が、2017年に日本口腔衛生学会誌へ寄稿した「認知症と口腔機能に関する声明」をご紹介いたします。


口腔機能は全身に影響する
口腔機能は全身に影響する

 国内の主要大学合同の政策声明委員会と日本口腔衛生学会疫学研究委員会、さらにワーキンググループにより公表されました。リンク先は以下に掲載します。

  ↓ ↓ ↓


 この中で、文献レビューから集められた認知機能と認知症の発症に関連する要因として、口腔機能との関連が示唆される部分を抜粋し、主要な部分のみ簡潔にまとめてみたいと思います。



文献レビュー:認知機能の低下や認知症の発症に関連する要因


1.認知機能の低下や認知症の発症に影響する要因

 口腔機能に関連した要因は6つ

① 慢性炎症状態

 歯周病の慢性炎症病巣から算出されるサイトカイン(炎症を制御する物質)や細菌由来の菌体内毒素が、血管障害性あるいは神経障害性の認知症と関連

② 生活習慣病

 高血圧、糖尿病、脂質代謝異常症といった生活習慣病も、認知機能の低下や血管性認知症の発症リスクと関連、メタボリックシンドロームの診断基準のうち肥満、糖代謝異常、脂質代謝異常、高血圧はそれぞれ歯周病との関連が指摘

③ 低栄養

 歯の欠損症による咬合の崩壊や口腔乾燥症などは、咀嚼障害からさまざまな口腔機能障害へ進展、そのため微量栄養素の摂取障害につながるリスクあり

④ 食事栄養

 欧米型の食生活が認知機能低下のリスクを増加、低カロリー食は酸化ストレスを減らし認知機能低下に対して保護的に働くなどの報告あり

⑤ 脳への刺激

 口腔への刺激や咀嚼運動は脳を活性化させ間接的にアルツハイマー型認知症の予防につながる報告あり

⑥ 社会交流

 歯の健康状態が積極的自尊感情や老年うつの気分を経由しながら、外出状態に影響する報告や、口腔清掃状況が不良である方は認知機能やADLなどが低下して活動範囲が狭くなる傾向あり


2.口腔保健におけるライフコースアプローチの必要性

 

口腔保健関連におけるライフコースアプローチ
口腔保健関連におけるライフコースアプローチ

 

 歯科の二大疾患といわれるう蝕と歯周病は、幼少期から始まり高齢期に至るまで徐々に増えてきます。 歯の喪失は咀嚼機能だけでなく、生活習慣病だけでなく認知症にまで影響を与えていることが、次第に分かってきました。

 口腔機能の喪失は高齢になり出現するものとしてとらえるのではなく、幼少期から続いているライフコースの中で、病的状態が蓄積した結果と考えなければなりません。



 認知症に対する口腔機能の役割を示したこの提言ですが、日本口腔衛生学会では生活習慣病予防や受動喫煙防止と禁煙の推進など、歯科口腔保健に関連した提言が本学会のサイトから見ることが可能です。ご興味がございましたらぜひご覧ください。

 


次回に続く



 
 
 

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