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歯科医だから見える老いのサイン⑧ーフレイル指数とフレイルアセスメント

  • 執筆者の写真: 康弘 若菜
    康弘 若菜
  • 20 時間前
  • 読了時間: 3分

 フレイルの診断と評価について、このサイトでも複数回にわたりご説明させていただきました。フレイルに対して関心を高め予防や早期発見に努めること、もしフレイルが進んでいるならば、その進行を止めることが何より重要です。

 しかし年齢が進むと、さまざまな病気や外傷と向き合わねばならない時があります。麻酔を行い外科手術を行う場合や、抜歯や切開など歯科の観血処置を行う場合など、フレイルが進行した体に多かれ少なかれ侵襲を与える場合があります。そのような時に一定の基準をもってフレイルを評価することは、治療を行う医師や歯科医師にとって大切な診断情報の一つとなります。多職種連携により治療効果を最大限に高めるためにも、その専門用語に触れてみたいと思います。




目次

<フレイルアセスメントー評価>

◇ 意義

◇ 手術後のアウトカムの改善

<外科手術のリスク評価>

◇ 米国外科学会の外科的質向上プログラムACSーNSQIP

◇ 術後の機能回復に向けて



<フレイルアセスメントー評価>

◇ 意義

 ここで言うところの意義とは、あくまで外科処置や歯科での観血処置など、体に侵襲を与えうる治療を行う場合に全身状態を含めてフレイルをどのように評価するべきかという視点で意義をお伝えします。

 病気を患い外科処置を行い入院生活が必要となった時、高齢者では高い頻度で臨床的トカムが悪化することが予想されます。とくに治療のリスクの一つとして体を動かさない病棟での生活が続いた結果、骨格筋蛋白合成能力が落ちてしまい骨格筋量や筋力が低下することが考えられます。外科治療や観血処置を行うにあたり、治療期間を通して患者さんの全身状態を考えることこそ、フレイルアセスメントの意義といえます。

 

◇ 手術後のアウトカムの改善

 手術前の段階から病気の診断に加えてフレイルを評価することは、術後の機能回復さらには社会復帰に向けて貴重な判断材料となります。「フレイル・サルコべニアの進行は術後の合併症の増加や死亡率の上昇など術後アウトカムに影響を与えている」という報告が、国内外問わず多数よせられています。


<外科手術のリスク評価>

◇ 米国外科学会の外科的質向上プログラムACSーNSQIP

 外科手術を行う場合のリスクを評価するためのデータベースとして、米国外科学会がデータベースを提供しています。その中では、フレイルの程度を評価する11項目の指標としてFrailty IndexあるいはModified frailty Indexが利用されています。これはフレイルの程度を数値化して術後合併症や死亡率の予測に役立てようとするものです。

 欧米諸国では高齢者の外科手術にあたり、このようなフレイルを数値化した評価が行われています。

 残念ながら歯科領域の手術や観血処置において、フレイルの評価を含めた手術リスクを評価する方法について、エビデンスに基づく報告はあまり多くありません。今後の研究に期待したいところですね。


◇ 術後の機能回復に向けて

 さまざまな領域で、術後の機能回復を高めかつフレイル・サルコべニアを防ぐ対策が研究されていますが、こちらもまだ強いエビデンスのある確立された治療法というのは見つかっていないようです。

 多くは栄養療法と運動療法について報告が挙げられつつあります。とくに高齢で体力や免疫力の低下した術後となれば、骨格筋量の増大や筋力の維持のためタンパク質やビタミンなど栄養素をどの程度摂取すべきか、あるいは運動たとえば有酸素運動やレジリエンス運動をどのくらいの負荷をかけて行うべきか確立された方法はまだありません。

 そういった術後の機能回復に向けてのプログラムも早急に開発する必要があるでしょう。こちらも今後の研究に期待したいと思います。


次に続く

 

 


 
 
 

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