top of page

歯科医だから見える老いのサイン⑤ー口腔機能低下症

  • 執筆者の写真: 康弘 若菜
    康弘 若菜
  • 6月25日
  • 読了時間: 3分

 オーラルフレイルの基礎知識をご理解していただくこのシリーズですが、5回目となりました。オーラルフレイルの概念をお伝えする時に、もう一つ重要なキーワードを簡単にご説明しなければなりません。「口腔機能低下症」という概念です。



 

目次

<口腔機能低下症とは>

◇口腔機能低下症の考え方

◇特徴

<口腔機能低下症の診断>



<口腔機能低下症とは>

◇口腔機能低下症の考え方

 口腔機能低下症という医学病名を考えるにあたり、基本的には日本老年歯科医学会が2016年と2018年に示した学会見解の論文が基本となり、多くの関連学会や歯科医師会がこの考え方を支持し、臨床現場で採用しています。日本老年歯科医学会のサイトから抜粋させていただきます。


 ・・・「口腔機能低下症」とは、加齢により口腔内の「感覚」「咀嚼」「嚥下」「唾液分泌」等の機能が少しづつ低下してくる症状です。「口腔機能低下」を早期に自覚することで生涯にわたり、食べることを楽しみ、会話に花を咲かせ、笑顔が続く健康長寿を支えます。・・・


 

日本歯科医学会サイトより転載
日本歯科医学会サイトより転載

◇特徴

 口腔機能低下症は、歯科医師による専門的な介入が必要となる疾患名です。オーラルフレイルがより一層進行した状態をいいます。早期のうちに適切な専門的治療を施すことができれば、進行を阻止し口腔機能を維持することが可能です。

 さまざまな原因が複合的に影響して、口腔機能が低下した状態を口腔機能低下といい、口腔内の微生物の増加、口腔乾燥、舌や口腔周囲筋の筋力低下、咬合力低下、嚥下機能低下など複数にわたる機能が低下することが特徴です。

 口腔機能低下症を放置し続ければ、全身のフレイルや低栄養さらにはサルコべニアを進展させる原因となりえます。


<口腔機能低下症の診断>

 口腔機能低下症を診断するための7つの検査項目のうち、3項目以上該当する場合を口腔機能低下症と診断します。

1.口腔衛生状態の検査

・微生物口腔細菌定量検査

 滅菌綿棒にて舌背より検体採取する。

・舌苔の付着程度

 Tongue Coating Indexを用いてスコア値から判定する。

2.口腔乾燥の評価

・口腔水分計(ムーカス)

・サクソンテストによる唾液量測定

3.咬合力低下の検査

・咬合力計や計測装置による計測値から判定する。

・残存歯数

4.舌口唇運動機能検査

 オーラルディアドコキネシスによる評価を行う。/pa/ta/kaそれぞれの音節の5秒間での発音回数を計測するもの。

5.低舌圧の検査

 舌圧測定機により判定する。

6.咀嚼機能低下の評価

・咀嚼能力検査

 グミゼリー咀嚼後のグルコース溶出量を、グルコセンサーにより判定する。

・咀嚼能率スコア法

 グミゼリーの粉砕度を視覚資料と照合して判定する。

7.嚥下機能低下の検査

・嚥下スクリーニング検査(EAT-10)

 嚥下スクリーニング質問紙(EAT-10)を用いて評価する。

・自記式質問票(聖隷式嚥下質問紙)


 全身所見と照らし合わせ、これらの検査に基づいて口腔機能低下症と診断されたならば、歯科医師により管理計画書が作成されます。この管理計画書は医師をはじめ多職種の方々と情報を共有し、病態に応じてあるいは個人の状態に応じて訓練や指導が実施されます。日本老年歯科医学会では医療職向けに、口腔機能低下症の検査から診断さらには臨床への応用について、詳しく提示されています。ぜひご参照ください。



 

次回へ続く

 


 
 
 

コメント


bottom of page