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忙しい方のための効率的な文献検索テクニックー2

  • 執筆者の写真: 康弘 若菜
    康弘 若菜
  • 6月7日
  • 読了時間: 7分

 前回の記事では、日ごろの疑問点など知りたいことを文章にして、そこから関心を持つ専門用語などキーワードを抜き出すことが検索の第一歩であることを記しました。今回はもう少し具体的なテクニックを挙げていきます。


目次


<論文検索の代表的な方法>

 ◇論文検索データベースの利用

 ◦オープンアクセス(OA)とは

 ◦オンライン文献データベース

 ◇大学図書館を利用する方法


<検索に必要な論理演算子>


<オンライン文献検索サービスの簡単な利用方法>




<論文検索の代表的な方法>


論文検索データベースの利用


「論文を探す時間がなかなか取れない」「論文を探す方法がよく分からない」「簡単かつエビデンスレベルの高い論文を見つけたい」など、忙しい仕事の合間に論文を探すとなったとき、おそらく最も簡単に論文を探す方法は、論文検索サイトを利用することがベストです。

 

 日常生活の中で情報をタイムリーに探したいときには、ブラウザの検索サイトを利用することがほとんどです。しかしブラウザの検索サイトやAIを利用した情報集だと、情報の正確性が薄れてしまうのも事実です。エビデンスを強く求められる医療現場では、専門分野の論文を探すことに特化した論文検索サイトを利用することをお勧めします。


オープンアクセス(OA)とは

 

 インターネット上で公開されており、PCやモバイル端末を利用して誰でも無料でアクセスし閲覧・利用ができることをオープンアクセス(OA)といいます。主に4種類に分類されますが、国際的に推奨されているのはゴールドとグリーンのOAです。

 

 ・ゴールドOA

 著者や研究機関が論文掲載料(APC:いわゆる出版費用)を支払い、読者が購読料を支払わず無料で閲覧できる方法。このようなオープンアクセス誌には、査読もほとんどないハゲタカジャーナルと呼ばれる粗悪な学術誌も含まれることから、雑誌の投稿者のみならず読者側も、掲載雑誌の評判も吟味する必要があります。


 ・グリーンOA

 著者自身が論文を期間リポジトリ(デジタル文章の保管場所)などに登録して、基本的には無料で公開されるもの。セルフアーカイビングと呼ぶこともあります。


 ・ハイブリッドOA

 オープンアクセス論文とそうでないものの両方を掲載しています。通常は著者が論文掲載料(APC:いわゆる出版費用)を支払った論文のみ、オープンアクセス権が与えられています。


 ・ブロンズOA

 出版社のサイトにおいて、明確なライセンスが示されていないノーベル賞受賞者の論文などが、一時的に公開されることがあります。このような記事は多くの場合、再利用が明確には許可されていません。


 オープンアクセスの権限は、研究者にとって論文が引用されやすくなり研究成果の情報発信力が向上するといえます。さらに大学等の学術機関にとっても他分野にまたがる学術情報の共有が容易になり、分野横断的な研究が進めやすくなる利点があります。

 一利用者にとっても、都市部や地方に限らず学術情報の格差が解消され、世界中のどこからでも知識を得ることができるのが最大の利点です。時間を気にせずどこからでも、最新の医学情報に触れることのできる機会を与えてくれます。


 ◦オンライン文献データベース


 Google検索と同じ検索画面から、キーワードを入力することで簡単に検索することができます。見慣れた画面から入力することが可能で、学問分野を問わない汎用性や使いやすさから代表的なデータベースと言えます。全文のPDFのリンクが示されていて、Googleアカウントと連携すれば、簡単に保存ができるのが特徴です。


 国立情報学研究所(NII)が運営しているデータベースです。国内の学術雑誌や論文などを広くカバーしていることが特徴で、検索画面も日本語入力ですべて行えるため、国内の文献検索が目的であれば第一選択としてお勧めです。オープンアクセス論文も多く、無料で閲覧できる文献が豊富に含まれています。


 国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が運営している、電子ジャーナルのプラットフォームです。医学生物学に限らず多様なジャンルをカバーしており、英語論文も多く含まれています。アカウントサービスに登録することで、多くの論文にアクセスすることができます。


 米国国立生物化学情報センター(NCBI)が作成しているデータベースで、世界の主要な医学雑誌に掲載された論文を検索することが可能です。米国国立医学図書館(NLM)が提供するMEDLINEデータベースにアクセスしています。医学や関連分野の研究者には不可欠とされるサービスです。


◇大学図書館を利用する方法

 

 大学図書館では学術雑誌や専門書が各専門分野ごとに分かれて配置されているため、目的となる文献や情報を探しやすいことが特徴です。ただし都合上、収蔵しきれない学術雑誌や専門書等もあることから、読むことが可能かどうか?あるいは論文の取り寄せが可能かどうか?事前に問い合わせを行い確認した方がいいかもしれません。


<検索に必要な論理演算子>

 文献検索の精度を上げて検索漏れやノイズを減らす意味では、研究者でなくとも論理演算子は覚えていて損はない検索手法の一つです。効率的に文献を探すことができ、質の高い文献を探す一助となります。


 複数のキーワードを組み合わせて検索する方法です。スペースと「AND/OR/NOT」の3つを用いて検索します。ANDは省略することもできます。


 AND検索 

 複数入力したすべてのキーワードを含む文献を検索する

 キーワード1 AND キーワード2

 (ANDは省略することもできる)


 OR検索

 複数入力したキーワードのいずれかを含む文献を検索する

 キーワード1 OR キーワード2


 NOT検索

 複数入力したキーワードのうちNOTの直後のキーワードを含まない文献を検索する

 キーワード1 NOT キーワード2

 特定のキーワードを除きたい場合に有利


 *医中誌webでは、AND検索はキーワード1*キーワード2、OR検索はキーワード1+キーワード2、NOT検索はキーワード1-キーワード2と表記できます。また3つ以上のキーワードを含む場合、先に処理したいキーワードは()で囲み、()が優先される以外には左から順に処理されます。またキーワードの後ろに/検索タグを置くことで、項目を指定してより詳細な検索ができるよう工夫されています。

 医中誌webの詳細については以下にリンク先を貼りますので、ぜひご参照ください。



<オンライン文献検索サービスの簡単な利用方法>

 

 どのくらいの精度のある文献を集めるのかによるのですが、普段から忙しい医療現場で働いている、なかなか時間が作れない医療関係者の方に向けて少しアドバイスをさせてください。

 どのような職種であっても医療に携わる方々は、日ごろから業務に追われ忙しい思いをなさっていることと思います。そんな中で少しでも価値ある文献に出会うことができて、安全安心な医療を行い現場のストレスが少なくなるものであれば、積極的に文献検索を行い情報収集に努めるべきです。医学研究の価値はそのためにあります。

 

 まずは疑問に思うことは覚えているうちに手帳やノートに記載する。その時にはなるべく文章で記録を残すこと。時間や場所を同時に記載すると後から思い出しやすい。

 ↓ ↓ ↓

 休憩時間や帰宅後に記載した文章からキーワードを書き出す。

 ↓ ↓ ↓

 簡単な検索の場合はGoogle Scholarで十分。より深く追及したいなら、CiNiiやJ-STAGE、英語文献を求める場合はPubMedなどを利用する。


 オープンアクセス文献であれば、このような手法で十分だと思います。また医学文献検索に特化した会員制ダウンロードサービスもあり、筆者は20年近く前からこのサービスを利用しています。サイトの使い勝手もよく、最新情報も分かりやすく系統的に配置されているため、直感的に使用することができるのが特徴です。

 ぜひこういったサービスを利用するのもよいかと思います。

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