口の健康でQOLを上げる②
- 康弘 若菜

- 7月19日
- 読了時間: 3分
前回は口腔関連QOLの概念をご説明させていただきました。その続きとして、口腔関連QOLは全身の健康にどのような影響を及ぼしているか、もう少し詳しく見てみます。
全身の健康を評価する尺度として、SF-8を取り上げた文献があります。この内容を一部ご紹介します。
↓ ↓ ↓

目次
<SF-36/SF-8>
<口腔関連QOL>
<調査のまとめ>
<SF-36/SF-8>
この文献に書かれている全身の健康のQOL尺度として、SF-8が使われています。このSF-8はSF-36の短縮版として開発され、世界中で利用されています。ただしライセンス登録が必要で有料となります。
健康関連QOLを測定する尺度は包括的尺度と疾患特異的尺度に分類されますが、SF-8は包括的尺度として分類されます。
文献の中ではSF-8の特徴を以下のように説明しています。
①健康関連QOLを測定する多次元のプロファイル型包括的尺度である。
②患者の視点に立脚した健康度や日常・社会生活機能の変化を、計量心理学的に測定するために作成された。
③さまざまな疾患を持つ人や健康といわれる人々に共通する要素によって構成されている。
④身体機能、メンタルヘルス、日常役割機能、社会生活機能などで構成されている。
⑤病気の人のQOLから健康といわれている人のQOLまでを連続的に測定でき、異なった疾患の健康状態の比較が可能になる。
項目数が少ないため回答に要する時間が短くてすむ利点がある一方、尺度得点が細かく分けられ身体的サマリースコアを計算する際にはそれぞれ係数をかけて合計するなど、計量心理学的な手法をとるためそのスコアリングがかなり複雑であることを筆者は指摘しています。さらにSF-36と比較して精度に劣る欠点もあります。
SF-8の8個の下位尺度を以下に記載します。
・身体機能
・日常役割機能(身体)
・体の痛み
・全体的健康感
・活力
・社会生活機能
・日常役割機能(精神)
・心の健康
<口腔関連QOL>
口腔関連QOLとしてGOHAI(General Oral Health Assessment Index)日本語版が使われ、GOHAI値が利用されていました。
<調査のまとめ>
・残存歯数が多いほど、また対合接触(上下の歯がかみ合う部分)が保持されているほど、身体的QOLは高い
・精神的QOLは、残存歯数、DMFT(虫歯を経験した歯の数)、アイヒナー分類(咬合状態の分類)、PD(歯周ポケットの深さ)、定期健診などの口腔関連指標と強い関係を示した。
・口腔関連QOLは精神の健康度と深い関連を示した。
・年間のメンテナンス回数と口腔関連QOLは関連するが、全身のQOLとの関連はみられない。
この文献では、以降続く同じ被験者の追跡調査を行う予定であると書かれています。そのためのベースラインの設定として、口腔関連QOLを指標として利用していました。
口の機能に関するQOL尺度の利活用について、どのように使われているのか書かせていただきました。しかしまだ臨床での使用に耐えうるより簡易的な指標というと、開発までもうしばらく待たねばならないかもしれません。今後も口腔機能が全身にどのように影響を及ぼしているのか、社会疫学的な調査研究から解明されることを期待します。



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