高齢者ケアの今後の展開ーCGA-5Ms
- 康弘 若菜

- 8月14日
- 読了時間: 6分
高齢者総合機能評価(CGA)は、多くは大学附属病院や大規模病院などの高度かつ専門的な医療機関で利用されてきました。しかしすべての医療機関でこれを日常臨床で利活用しうるには、未だ実用性が高いとは言い切れません。医療現場では必要性が高いと感じている世界標準の評価法であるにもかかわらず、国内で細部にまでその考え方が浸透しないのはなぜでしょうか?
今後の高齢者ケアに必要とされるCGAと5Msフレームワークの考え方を結合し、どうしたら社会実装できるか?さらにWHOが提唱したICOPEとCGA-5Msの関係性について、日本老年医学会は2025年にポジションステートメントとして提唱しています。

目次
<5Msフレームワークとは>
<CGA-5Ms:老年医学会の提案>
<ICOPE(Integrated Care for People)とは>
<ICOPEとCGA-5Msの関係>
<ICOPE-誤嚥リスクの評価>
<地元の大多喜町への社会実装をAIに書かせてみた>
<5Msフレームワークとは>
高齢者を医学的に評価する場合に、見落としてはならない高齢者ケアの本質ともいうべき5つの領域をフレームワークとして体系化したものです。高齢者診療を行う上で世界標準とされる高齢者ケアの現場でのコミュニケーション手段となっています。
・Mind(認知機能・精神面):認知機能、うつ、せん妄、メンタルヘルス
・Mobility(生活機能・身体機能):ADL、歩行、バランス、転倒リスク
・Medications(薬物療法の適正化):多剤併用、処方適正化、薬剤の安全性
・Multicomplexity(多疾患・複雑性のマネジメント):多疾患併存と社会的・臨床的複雑性
・Matters Most(最も大切にすべきこと):患者の価値観、希望、ケア目標
このようにケアには多くの関連要因かつ多くの関連領域の問題が複雑に絡んでいること、医療介護から生活の支援まで統合した評価がなされなければならないことが本質とされています。
<CGA-5Ms:老年医学会の提案>
互いに対立する概念ではなく相互に補完し合い、国内のすべての医療機関で実装されうるツールとして提唱されたものです。3つのレベルで構成されています。
レベル1:5MSベースのスクリーニングと簡易評価
プライマリケア、救急、一般病棟などにおいて主要な課題を迅速に特定
レベル2:CGA拡張評価
老年医療サービスや複雑ケアユニットにおいて包括的かつ多領域の詳細評価
レベル3:5Msを用いた多職種連携とフォローアップ
CGA結果を5Msで要約し多職種の包括的なケアを行う
<ICOPE(Integrated Care for People)とは>
高齢者の機能低下を機能低下を早期発見し、地域で健康増進や予防的介入を行うための国際標準モデルといえます。WHOは高齢者の機能を6つの領域で機能低下をスクリーニングし、地域レベルで介入することを推奨しています。
1.Congnition(認知機能)
2.Mobility(移動能力)
3.Vitality(活力)
4.Vision(視覚)
5.Hearing(聴覚)
6.Psychological(精神機能)
<ICOPEとCGA-5Msの関係>
両者は役割は違うものの目的とするところは同じである評価体系といえます。
CGA-5MS:医療での包括的評価(介入・治療)
ICOPE:地域での機能低下のスクリーニング(早期発見)
つまり地域で早期発見と予防(ICOPE)、医療では包括的評価と治療による介入を互いに補完し合う関係を作ることが望ましいと、日本老年医学会では提唱しています。
地域(ICOPE)で気づく
↓
医療(CGA-5Ms)で深く診る
↓
地域で支える(フォローアップ)
↓
再びICOPEでチェック(循環)
このような流れを実装することが望まれます。日本老年医学会による2025年に提唱されたポジションステートメントでは、概論として社会実装のための戦略が示されていますが、現在でもそのエビデンスとなる原著論文はまだまだ少ないようです。
<ICOPE-誤嚥リスクの評価>
誤嚥リスクをICOPEにより評価したい場合、次のように考えることができます。
・Cognition:食事中の注意力低下
・Mobility:姿勢とくに頭頚部保持力、体幹の安定
・Vitality:生活動作を含めた栄養摂取状況
・Psychological capacity:食欲や食事内容の認識力
・Hearing/Vision:食事介助の声掛けに対する反応
<地元の大多喜町への社会実装をAIに書かせてみた>
今まで列記した専門用語を踏まえて大多喜町の人口構成を条件に、AIに「大多喜町へ当サイトのコンセプトである和楽健美プロジェクトを実装するためのプロトコールを考える」「中長期実装ロードマップ」というような指示を与えてみたところ、以下のようにとても具体的で興味ある回答を得ました。
📅 大多喜町向け 実装ロードマップ(半年・1年・3年)
🟦 【0〜半年】“気づきの量を増やす”フェーズ(ICOPEの普及)
● 目的
地域で「変化に気づける人」を増やす。 和楽健美の核である 口腔 × 栄養 × 動き を住民が理解する段階。
● 実施内容
地域サロンで ICOPEの簡易チェックを導入
回覧板で「食べづらい・噛みにくい・体重減少は要注意」と周知
和楽健美プロジェクトで 口腔体操・栄養講座・簡易体力測定を開始
包括支援センターと医療機関の 連絡ルートを固定化
歯科・栄養・リハ職種と地域の顔合わせ(連携の土台づくり)
● 成果指標(半年)
ICOPEチェックを受けた住民数
「気になる変化」の相談件数
和楽健美の参加者増加
歯科・栄養・リハとの連携回数
🟩 【半年〜1年】“医療と地域をつなぐ”フェーズ(CGA-5Msの導入)
● 目的
地域で見つけた「気になる変化」を、医療で深く評価できる体制を作る。
● 実施内容
医療機関で CGA-5Msの評価プロトコルを整備
歯科・栄養・リハ・医師の 多職種連携チームを形成
地域から医療への紹介基準を明確化 (例:体重2kg以上減少、むせが増えた、歩行速度低下など)
医療側で作成したケア計画を 地域へ共有する仕組みを作る
和楽健美プロジェクトで 口腔 × 栄養 × 動きの三位一体支援を本格化
● 成果指標(1年)
CGA-5Ms評価件数
医療から地域へのケア計画共有数
口腔機能低下症の早期発見数
栄養改善・運動支援の継続率
🟧 【1〜3年】“循環を定着させる”フェーズ(統合ケアモデルの完成)
● 目的
地域 → 医療 → 地域 の循環を「町の仕組み」として定着させる。
● 実施内容
和楽健美プロジェクトを 町の公式健康事業として位置づけ
年2回の 町ぐるみICOPEチェック週間を実施
医療機関と地域の 定例カンファレンス(月1回)を開催
口腔・栄養・動きの三位一体モデルを 学校・企業にも拡大
高齢者の健康データ(体重・歩行速度・口腔機能)を 地域包括支援センターで一元管理
町内の歯科・薬局・栄養士・リハ職種の ネットワーク化
● 成果指標(3年)
フレイル発生率の低下
口腔機能低下症の早期発見率向上
低栄養者の減少
転倒件数の減少
地域サロン参加率の増加
医療と地域の連携件数の増加
口腔・栄養・動き(運動)で高齢者のフレイルを予防する先進的なまちづくりとして、すぐにでも実行することが可能な具体的なプランが書かれていました。
あくまでAIによる想像のレベルですが、プライマリケアの段階ですぐにでも実践できるような試みが提示されています。



コメント