歯科医だから見える老いのサイン①ー健康寿命を延ばす
- 康弘 若菜

- 6月13日
- 読了時間: 4分
歯科医院に訪れる患者さんの中には、90歳以上で元気に自立した生活を送ることのできる方が増えてきています。訪問診療を行っている施設では、100歳を超えて介助を受けながら生活している、いわゆる超高齢者にお会いするのも珍しくない時代となりました。
世界最長寿国となった現在、病気をせず長生きすることが目標ではありますが、高齢者がいかに健康で自立した生き方ができるのか?いわゆる「健康寿命を延伸する」という考え方が広まりつつあります。
フレイル・オーラルフレイルと呼ばれる高齢者の虚弱を予防し、健康寿命を延伸するためにはどうしたらよいのだろうか?文献から得られた新しい知識を、医療・介護・福祉に関係した多くの皆様にいち早く届けたい、さらにはその理論を社会実装するにはどうすればよいのか?結果として健康寿命の延伸につながればいいのではという考えのもとに、このサイトを立ち上げました。
前回までのブログ記事ではその序論として、文献調査の方法や高齢者の定義を書かせていただきましたが、いよいよ各論に移らせていただきます。
目次
<健康寿命とは>
<健康寿命の疫学>
<平均寿命と健康寿命の推移>
<健康寿命の算出>
<平均寿命と健康寿命の差を縮めること>
<社会課題として>
<まとめー長寿の質を高める>

<健康寿命とは>
平均寿命が0歳児の平均余命と定義され、「今年生まれた子が何歳まで生きるか?」を予想した期待値であることに対して、健康寿命とは、介護や支援を必要とせず自立して生活できる期間とされています。国の健康政策である健康日本21で、国民に向けて公式に提言されたものです。
平均寿命が延びていても、寝たきりや要介護の期間が長ければ、決して多くの方々が望んでいる豊かな人生とは言い切れません。そのため健康寿命がどれだけ伸ばせるのかということが、大きな社会問題となっています。
<健康寿命の疫学>
簡易生命表、国民生活基礎調査、人口動態統計を基にした健康格差の数字は、以下のような傾向を示します。
♢平均寿命(2024年)
男性81.09歳 < 女性87.13歳
♢健康寿命(2022年)
男性72.57歳 < 女性75.45歳
♢不健康期間
男性8~9年 < 女性11~12年
*特徴的なのは、女性は平均寿命が長いにもかかわらず不健康な期間は男性よりも長いといえます。
<平均寿命と健康寿命の推移>
2000年以降は、平均寿命と健康寿命はともに延伸してきましたが、両者には男性で約8年、女性で約11年の差があります。近年までなかなか縮まらない期間として、健康政策を考える上でも重要な意味を含んでいます。

*日本は世界有数の長寿国であるにもかかわらず、健康な老後を送ることができているかといえば、まだまだ不十分だと言わざるを得ません。長寿国であることは健康大国であるとは言えないのが現状です。
<健康寿命の算出>
健康寿命は、平均余命を「健康な期間」と「不健康な期間」に分けて、健康な期間の平均年数を求めています。国内では健康日本21(第二次)以降に「日常生活に制限があること」を不健康と定義し、国民生活基礎調査で得られたデータをもとに算出されています。
1.日常生活に制限のない期間の平均(主指標)
2.自分が健康であると自覚している期間の平均(副指標)
1と2の指標に沿い、調査の回答から得られた割合をサリバン法にて算出しています。
↓ ↓ ↓
厚生労働省のサイトに記載があるので、ぜひこちらも参考にして下さい。
<平均寿命と健康寿命の差を縮めること>
平均寿命と健康寿命の差を縮めるとは、「日常生活に制限がかかるような不健康な期間を短くしたい」ということです。年を取って体の自由が利かなくなってきた、物覚えが悪くなった、通院の回数が増えた、など若い時と違ってさまざまな生活への影響が現れてきます。いくつになっても若い時と同じような生活を続けたいと願うのは、いつの時代でも変わらず人間の願望の一つでしょう。そのためには健康寿命とはどういう意味か、健康寿命を延ばすためにはどのようなことを実践すべきか、ぜひご理解いただければ筆者としては幸いです。
<社会課題として>
65歳以上の要支援あるいは要介護の認定を受けた人の割合は、平成22年以降増加しています。さらに75歳以上となれば、要介護の認定を受ける人の割合は大きく上昇します。
以下に内閣府が公表した図表を添付いたします。


このまま少子高齢化が進み、介護する側もされる側も高齢化が進んでいけば、家族の介護負担の増大とくに老々介護の問題や医療費の増大など社会へもたらす影響も深刻なものとなります。
<まとめー長寿の質を高める>
◇平均寿命と健康寿命には差があります
◇健康寿命を延ばして平均寿命との差を縮めることが目標
◇健康寿命を延ばすことは大きな社会課題
健康寿命を延伸して元気に長生きすること、そのような観点からサイトの名前も和楽健美とさせていただきました。若い方だけでなく高齢者にもともに明るい未来が開けることを切に願います。
次回に続く

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